材料の選択と最後の仕上げ工程にも、仕上がりを左右する重要な分岐点が存在します。まず油脂について、シフォンケーキのサラダ油の代用を検討する際は「油脂の凝固点と比重」を理解する必要があります。
最も推奨されるのは、無臭で抗酸化力の高い「太白ごま油」や「米油」です。これらは常温で完全な液体を保ち、冷蔵庫で冷やしても生地が硬くなりません。一方、風味づけとして「オリーブオイル」を使う場合は特有の香りが前面に出るため用途を選びます。また、「溶かしバターやココナッツオイル」の代用は要注意です。これらは冷えると固まる飽和脂肪酸を多く含むため、シフォンケーキ本来の「ふわふわ・しっとり」とした食感を損ない、重たくパサついた質感に変化してしまいます。
さらに、焼き上がって完全に冷ました後のシフォンケーキの型外し方のコツも重要です。シフォンナイフを使う方法もありますが、現代のプロが推奨するのは失敗が少ない「手外し(ハンドプレスト)」技術です。
生地の表面を手のひら全体で優しく包み込み、型の外側に向かって均一に押し下げます。上質に焼けたシフォン生地は驚くべき弾力性を持っているため、底まで押し下げても指を離せば元の位置に復元します。全周を押し下げた後、底板を押し上げ、最後に筒周りと底面を手で優しく剥がすことで、ナイフで削り取ることなく美しいエッジの立った焼き面を露出させることができます。