オイスターソース炒めを作った際、お皿の底に濁った水分が溜まってしまった経験を持つ人は少なくありません。この現象が起きる根本的な理由は、「調味料の直接投入による浸透圧の急激な変化」と「食材投入による鍋肌温度の急降下」の2点に集約されます。
野菜に直接塩分を含む調味料を振りかけると、浸透圧の作用によって細胞壁が破壊され、内部の水分が一気に外へ浸出してしまいます。家庭用コンロの火力は業務用の約3分の1程度にとどまるため、一度出た水分を瞬時に蒸発させることができず、結果として「炒め物」ではなく「野菜の煮込み」へと変化してしまうのです。
中華料理のプロの炒め方を取材すると、熟練の料理人ほどフライパンの上で迷う時間を徹底的に排除していることが分かります。味付けに迷って調味料を1つずつ計量しながら入れている数秒の間に、野菜の食感は失われ、旨味成分が水分と共に流れ出てしまいます。