荒川自然公園が多くの人々を引きつける最大の理由は、東京都心近郊とは思えない圧倒的な緑量と、計算し尽くされた空間設計にあります。この公園の基盤となっているのは、国指定重要文化財の旧ポンプ場を擁する「三河島水処理センター」の施設上部です。インフラ施設の上を有効活用する「人工地盤」という特殊な土木技術により、地上から一段高い位置に約6万1,000平方メートルの緑豊かな別世界が形成されています。
現地を訪れると、周囲の幹線道路の喧騒が遮断され、心地よい静寂に包まれていることに気づきます。園内は大きく3つのエリア(北側・中央・南側)で構成されており、それぞれ異なる表情を持っています。
北側には野草や樹林が広がる自然生態園や昆虫観察コーナーがあり、南側にはスポーツ施設や遊具エリアが展開。そして中央部には、公園のシンボルである「白鳥の池」が水をたたえています。下水処理施設の屋上という特殊な環境を感じさせない豊かな植生は、長年にわたる土壌改良と徹底した植栽管理によって維持されており、都市部における環境共生のモデルケースとして高い評価を得ています。