JR中央線・総武線の三鷹駅南口から歩いて約8分。閑静な住宅街へと移り変わる通り沿いに店を構える「餃子のハルピン」の扉を開けると、食欲を刺激するエキゾチックな香気が立ち込めています。店主の出身地である中国黒竜江省ハルビン市の伝統的な家庭料理をルーツに持つこの店は、日本で広く親しまれている「ニンニクとキャベツが主体の餃子」とは根本から設計思想が異なります。
最大の差別化要素は、餡に練り込まれた秘伝の薬膳スパイスです。八角、桂皮(シナモン)、花椒、フェンネルをはじめとする漢方生薬としても知られるスパイスが絶妙な比率で配合されており、噛んだ瞬間に肉汁とともに華やかな芳香が鼻腔を突き抜けます。このスパイスワークによって、脂の重さを感じさせず、何個でも食べ進められる軽やかさと深いコクが両立しています。
さらに特筆すべきは、注文が入ってから伸ばされることもある自家製の皮です。小麦粉の配合と捏ね加減を熟練の職人技で調整した皮は、茹でれば驚くほどモッチリとした弾力を生み、焼き上げれば底面がパリッと香ばしく、上部は瑞々しさを保ちます。「タレをつけずにまずそのまま食べる」ことが推奨されるのも、皮と餡の調和だけで完璧な味の構築が完成している証左です。