1884年(明治17年)の華族令によって制定された爵位は、公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の5階格。この格付けは単なる名誉職ではなく、血統の由緒と近代国家建設への貢献度によって厳密に線引きされていた。近代日本史・華族制度研究の知見をもとに、その頂点から裾野までの代表的な苗字と背景を紐解く。
【公爵(最高位・全31家)】
皇族に次ぐ最高ランク。京都の公家最高峰である五摂家、徳川将軍家の宗家、そして国家への傑出した勲功者が授けられた。
・五摂家(旧公家):近衛、鷹司、九条、二条、一条
・徳川宗家:徳川(徳川家達が初代公爵)
・維新の元勲:岩倉具視の岩倉家、三条家、大久保家、木戸家、島津家(旧薩摩藩主宗家)、毛利家(旧長州藩主宗家)など。
のちに首相を務めた近衛文麿を筆頭に、政界の中枢で絶大な影響力を誇った。
【侯爵(全40余家)】
旧大名の大藩(十万石以上)の藩主、公家の清華家、および国家に多大な功績のあった者。
・旧大名系:細川、前田、浅野、黒田、鍋島、蜂須賀、山内、伊達、佐竹など
・旧公家系:久我、徳大寺、西園寺、花山院、大炊御門など
・勲功系:伊藤、井上、山県、松方、大隈など
【伯爵(全100余家)】
旧中藩(五万石以上)の知藩事、大臣格の大夫層の公家、ならびに軍功を立てた軍人・政治家。
・旧大名系:有馬、酒井、松平、真田、津軽、南部など
・旧公家系:甘露寺、日野、柳原、冷泉など
・勲功系:陸奥、林、樺山、乃木、東郷など
【子爵(全370余家)】
華族のなかで最も多数を占めた層。五万石未満の小藩知事や、平堂上家と呼ばれる公家の中下層、そして明治以降の勲功者。
・旧大名・旗本系:小笠原、水野、本多、大久保、米倉など
・旧公家系:高倉、清岡、千種など
【男爵(全400余家)】
幕末に維新へ貢献した志士、財閥創業家(三井、住友、岩崎、鴻池など)、学術・軍事で際立った功績を挙げた新興華族(新華族)。