天気予報で発表される気温は、気象庁の厳格な観測基準に基づき、風通しの良い日陰に設置された通風筒(地上1.5メートル)で測定されている。しかし、アスファルトの照り返しが照りつける都心の交差点や、ビル風が吹き抜ける駅のホームは、観測環境とは大きく異なる。ここに、気温の数字と私たちの感覚が食い違う最大の原因がある。
見逃せない要素が「風速」と「湿度」だ。一般に風速が秒速1メートル増すごとに、人間の体感温度は約1度下がるとされる。気温が15度あっても、春先や秋口特有の強風(秒速5メートル前後)が吹けば、肌感覚としては10度前後の寒さに匹敵する。日本気象協会が運営する「tenki.jp」などの気象情報サイトで提供されている「服装指数」が広く支持を集めているのも、こうした複合的な気象要因を反映しているからに他ならない。
さらに湿度の高低も衣服内の熱放散を左右する。同じ気温20度であっても、雨上がりの多湿な日は蒸し暑く感じ、乾燥した晴天の日には肌寒さを覚える。朝の服選びでは、単に最高・最低気温の数字を見るだけでなく、風速の予測と天候の変化まで視野に入れることが、快適さを手に入れる第一歩となる。