拝殿でいざ祈る際、いきなり個人的な願望を一方的に念じるのは避けるべき作法とされる。神前での祈願には、伝統的に重んじられてきた順序と構造が存在する。
まず心の中で自らの「住所」と「氏名」を名乗る。神に対して自らの存在を明かし、身元を正す礼儀である。続いて、今日まで無事に過ごせてきたことへの感謝を述べる。神道では「祓え(はらえ)」と「感謝」が祈願の大前提となる。
その上で、自らの目標や成し遂げたい意志を誓いの言葉として伝える。学問の神として親しまれる菅原道真を祀る天満宮であれば、「試験に合格させてください」と願うのではなく、「合格に向けて全力を尽くしますので、見守りください」と誓約する形が望ましい。他力依存ではなく自力救済の誓いを神に立てる姿勢が、精神を研ぎ澄まし、自ずと進むべき道を照らし出す。