物語の発端は、ティーターン族の神プロメテウスが、天界から聖なる火を盗み出して人間に与えた事件に遡ります。火を手に入れた人間は知恵と技術を発達させましたが、これに激怒したのが全能の主神ゼウスでした。ゼウスはプロメテウスと人間界に罰を与えるため、巧妙極まりない罠を仕掛けます。
ゼウスは鍛冶の神ヘパイストスに命じ、土と水から神々に似た容姿を持つ人類最初の女性パンドラ(Pandora=「すべての贈り物を与えられた者」の意)を創り出させました。オリンポスの神々は彼女に特別な資質を授けます。アテナは美しい織物と知恵を、アフロディーテは抗いがたい魅力と美貌を、そしてヘルメスは好奇心と狡猾な心を与えました。
神々の贈り物を身にまとったパンドラは、決して開けてはならない「容器」を持たされ、プロメテウスの弟であるエピメテウスのもとへと送り届けられました。神話におけるパンドラの誕生は、人間界を根底から揺るがすための周到な装置だったのです。