バイタルサインの数字だけを見ていては、本質を見誤る。CO2ナルコーシスの初期症状は、非常に静かに、そして日常の風景に溶け込むように現れるからだ。
最も注意すべきは「異常な眠気」や「うとうとした状態」である。単なる疲労や昼寝に見えるものが、実は脳内CO2濃度上昇による意識障害の始まりかもしれない。呼びかけに対する反応がいつもよりワンテンポ遅い、あるいは会話の辻褄が合わないといった変化を見逃してはならない。
また、身体所見としては、頭痛、発汗、そして手のひらが細かく震える「羽ばたき振戦(フラッピングトレモア)」が特徴的だ。患者の手に触れ、目を見て会話をする。この基本動作こそが、最大の防御策となる。