こうした構造変化に、ジャーナリズムも強い警鐘を鳴らし続けてきた。報道・メディア産業が果たすべき役割は、単に経済指標を伝えることにとどまらない。
かつて大きな話題を呼んだNHKスペシャル『格差社会の真相』をはじめ、NHKの報道番組や社会経済ドキュメンタリーは、非正規雇用の拡大や単身高齢者の貧困化など、社会の影の領域に光を当ててきた。また、『日経ビジネス』などの主要経済誌も、かつての中流ビジネスパーソンが直面する年収飽和とキャリアの分断を鋭く分析している。
メディアが捉えてきたのは、統計の数字に表れる以上の絶望と焦燥だ。「真面目に働いていれば普通に暮らせる」という日本型社会モデルの前提が、静かに崩れ去った事実をこれらの取材報道が証明している。