歌手としての成功に留まらず、美輪は日本の演劇界にも巨大な地殻変動を起こす。三島由紀夫が美輪のために書き下ろした舞台『黒蜥蜴』において、美輪は怪盗・黒蜥蜴を妖艶かつ圧倒的な迫力で演じ切った。美輪と三島が舞台上で魅せた美の頂上決戦は、今なお演劇史の金字塔として語り継がれる。
さらに、寺山修司が主宰した劇団「天井桟敷」の旗揚げ公演『青森県のせむし男』や『毛皮のマリー』でも主演を務めた。アングラ演劇の猥雑さと詩情が渦巻くステージで、美輪は唯一無二の怪演を披露。ジェンダーの壁を軽やかに破壊し、演劇界の常識を根底から覆した。