多くの人が躓きやすいのが、「鉛直」と「垂直」、そして「水平」の相互関係です。日常会話では同義語のように扱われがちですが、幾何学と物理工学の観点からは明確な境界線が存在します。
最大の違いは「基準が空間に対して絶対的か、それとも対象物に対して相対的か」という点に集約されます。静止した水面が形成する面を水平面、その水平面に対して垂直に交わる面を鉛直面と呼び、重力場において鉛直方向と水平方向は常に直交関係を保ちます。一方で「垂直」は、傾いた壁や斜面に対しても「その面に対して90度」であれば成立する相対的な概念です。
このように、鉛直方向と垂直の違いを整理すると、「鉛直は水平面に対して垂直な方向」という包含関係が成り立ちます。日常会話における鉛直と垂直の使い分けとしては、地球の重力に即して直立していることを強調したい場合は「鉛直」、単に直角であることを示したい場合は「垂直」を用いるのが最も理に適った表現です。