街頭やSNSで「無造作セットがうまくいかない」と嘆く声の9割以上は、仕上げのワックスではなくドライヤーによる乾かし方(ベースメイク)の段階で失敗しています。髪は「温めて冷ますとき」に形が固定される性質を持つため、濡れた状態から無作為に風を当てて乾かしてしまうと、トップの立ち上がりやサイドのボリュームダウンをコントロールできません。
プロの現場で徹底されている鉄則は「温風8割、冷風2割」のブロー比率です。まずは前髪を立ち上げるのか下ろすのかを決め、全体の根元に指を通しながら地肌を擦るように温風を当てます。トップにふんわりとしたボリュームを出し、ハチ張り(頭の横の出っ張り)部分は上から手で押さえながら熱を加えて冷ますことで、頭部全体が美しいひし形シルエットへと整います。
さらに見落とされがちなのが、スタイリング剤の性質と毛質の不一致です。軟毛の男性が油分の強い重たいヘアワックスを使用すると、塗布した直後から重みで毛束が垂れ下がり、夕方には皮脂と混ざり合ってペタンコになってしまいます。逆に剛毛や乾燥毛の男性がドライ系マットワックスをつけると、パサつきが強調されて不潔な印象を与えかねません。自分の髪質に適したセット力と水分量を持つ製品を見極めることが、無造作ヘアを成功させる絶対条件です。