『オトナ帝国』以降、シリーズは独自の「大人泣かせの遺伝子」を継承していきます。その代表格が、2014年公開の『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』です。本作はコメディ劇団「劇団☆新感線」の座付き作家である中島かずきが脚本を手掛け、ギャグの乱射の中に冷徹なSF的命題を埋め込みました。
ぎっくり腰の治療と偽られ、強引にロボットへと体を改造されたひろし。しかし物語の後半、観客は残酷な真実を突きつけられます。彼こそが「本物のひろしの記憶と人格をすべてコピーされた機械」に過ぎず、本物の肉体を持った生身のひろしは別に捕らえられていたのです。本物か偽物か。自らのアイデンティティが揺らぎ、家族に受け入れられない痛みを抱えながらも、しんのすけを救うためにロボとーちゃんは生身のひろしと腕相撲を行い、最後は力尽きてスクラップとなって散っていきます。
SNS上では、父親世代の観客から「家族を命がけで守るロボットの死に際を見て、隣に座る我が子の前で声を押し殺して泣いた」「男親の孤独と悲哀をこれほど鋭利に抉り出した映画は実写を含めて他にない」といった強烈な反響が寄せられました。コミカルな設定の裏に、「自己の存在を消去してでも次代に未来を託す」という自己犠牲の崇高さを描き切った点が、世代を問わず絶賛を博した要因です。
さらに令和の最高峰と目される『謎メキ!花の天カス学園』では、視点が親世代から「青春の過渡期にある若者たち」へとシフトします。点数化と効率化によって生徒を序列化する「エリートポイント制度」に絡め取られ、しんのすけと袂を分かちそうになる風間くんの葛藤は、成果主義社会で疲弊する現代人の琴線にダイレクトに触れました。ミステリーとしての論理的な伏線回収の美しさと相まって、新たな古典としてのポジションを確立しています。