鬼へと変じた人間は、本能のままに肉親すら貪るのがこの世界の実理だ。だが、禰豆子だけはその鉄則を鮮やかに裏切ってみせた。
なぜ彼女は人を襲わず、兄を守るために闘うことができたのか。そこには飢餓状態に耐え抜いた強靭な精神力と、育手である鱗滝左近次によって施された「人間はすべて家族」という暗示がある。しかし真の理由は、それだけではない。極限状態においても失われなかった兄妹の絆と、本能を超越した人間性の勝利にほかならない。
眠り続けることで体力を回復するという、異例の生態変化を遂げたこともファンを驚かせた。食事を絶ち、睡眠によってエネルギーを補給する姿は、作品における独特のロジックとして今なお語り継がれている。