舞台は函館。だが、映し出される風景はどこか異国の開拓地めいている。酒場には怪しげな密輸団がたむろし、男たちはトランプと拳銃を弄ぶ。メガホンを取った斎藤武市監督の手腕は、リアルな風土描写ではなく、観客を異次元の冒険へとトリップさせる虚構の構築に注がれた。
当時、日活株式会社が掲げた「日活無国籍アクション」という奇策。時代考証やリアリズムをあえてかなぐり捨て、ハリウッド西部劇のダイナミズムを日本の風景に強引に縫い合わせたのだ。港町のキャバレー、レンガ造りの倉庫街、疾走する馬。乾いた銃声とエレキギターの響きが混ざり合い、日本映画の枠組みを超えた唯一無二のエンターテインメント空間が立ち現れた。