沖縄の豚肉文化は数百年の歴史を誇るが、琉球在来豚「アグー」は第二次世界大戦後に絶滅寸前まで追い込まれた。戦後、西洋種の大規模導入により頭数は激減し、一時は県内にわずか数十頭しか残っていなかった。この危機を救ったのが、名護市や今帰仁村をはじめとする地域の熱心なブリーダーたちだ。
特に今帰仁アグーの復活に心血を注いだ岸本尚登氏をはじめとする先駆者たちの情熱は、今日の畜産業界における伝説となっている。DNA鑑定を重ね、原種の選抜交配を地道に続けた結果、純血に近い血統が現代に甦った。現在の沖縄の畜産業は、こうした執念深い保存活動の上に成り立っている。