ネット上の掲示板では「黒瀬は陸の孤島」「友達ができないと逃げ場がない」といったネガティブな言説が独り歩きすることがあります。しかし、教育社会学や環境適応の観点から現場を分析すると、この「閉鎖性」とも取れる環境こそが、医療専門職の育成において意図せざる強力なセーフティネットとして機能している事実が見えてきます。
医療・リハビリ系の学問は、1年次からの解剖学や生理学、専門用語の暗記、さらには学外臨床実習の事前試験(OSCE・CBTなど)といった厳しい関門が待ち受けています。都市部の誘惑が多いキャンパスでは個人の孤立や学業離脱が起きやすいのに対し、東広島キャンパスでは学生同士の生活圏が黒瀬周辺に集中しているため、自然と互いの部屋に集まり、夜遅くまで教え合う「ピア・サポート(仲間同士の支え合い)」が日常化します。
もちろん、これは裏を返せば「人間関係の距離感が近い」ことを意味します。プライベートを完全に切り離したい人や、サークルやバイトで幅広い人脈を外に広げたいタイプにとっては、少々窮屈に感じられる局面があるのも事実です。しかし、臨床現場で問われるのはまさに「多職種チーム内での協調性とコミュニケーション能力」であり、学生時代の濃密な人間関係は、そのまま将来の臨床適応力を鍛える訓練の場となっています。