『紳士とお嬢さん』の魅力の根幹を成すのは、階層の異なるふたつの家族がひとつの大邸宅で交錯する緻密な人間関係です。物語の骨子となるあらすじは、妻と死別して3人の子供を男手ひとつで育てるFTグループ会長のイ・ヨングク(演:チ・ヒョヌ)の家に、母の失踪と義理の家族のトラブルで居場所を失ったパク・ダンダン(演:イ・セヒ)が住み込みの家庭教師としてやってくるところから動き出します。
作中の関係性を整理すると、権力と孤独を抱える「イ家」、貧困と情愛に揺れる「パク家」、そしてイ・ヨングクの後妻の座を狙う執事チョ・サラ(演:パク・ハナ)の一派という、大きく3つの陣営に分かれます。相関図の中心でドラマを駆動させるのは、単なる恋愛感情だけでなく、隠された血縁の秘密や親世代の過去の因縁です。
ダンダンの実母であるジヨン(アナ・キム)が過去に娘を捨てて渡米し、後に成功したデザイナーとしてヨングクのビジネスパートナーとして現れる展開や、チョ・サラが密かに産み落とした実子がイ家の末っ子セジョンであったという衝撃の真実は、週末ドラマ特有の強烈な推進力(マクチャン要素)を生み出しました。しかし、本作が単なる愛憎劇に堕ちなかったのは、ダンダンと3人の子供たちが育む純粋な情愛と、ヨングクが父親として再生していく過程が丁寧に描写されたからに他なりません。