古来より三十三間堂は、特定の霊験あらたかなご利益スポットとして庶民から篤い信仰を集めてきました。その筆頭が「頭痛封じ(頭痛平癒)」のご利益です。
この信仰は、後白河法皇が長年激しい頭痛に悩まされていた故事に端を発します。熊野詣の際、神託によって「法皇の前世は蓮華坊という高僧であり、その髑髏が岩倉の川底に沈み、そこから生えた柳の木が風で揺れるたびに頭痛が起きている」と告げられました。法皇がその髑髏を探し出して堂内に納め、柳の木を本堂の梁に使ったところ頭痛がたちどころに治まったという伝説から、三十三間堂は「頭痛山平治寺」とも称され、現在も授与所で頒布される「頭痛封じのお守り」を求める参拝者が後を絶ちません。
この故事にちなみ、毎年1月中旬(成人の日の直前の日曜日など)に厳修されるのが、新春の風物詩「楊枝のお加持(やなぎのおかじ)」です。聖樹とされる柳の枝で参拝者の頭上に香水を注ぎかけ、無病息災・頭痛平癒を祈願する秘法儀式であり、この日は境内が終日無料開放されます。
同日、本堂西側の射場で開催されるのが「通し矢」の伝統を継ぐ「大的(おおまと)全国大会」です。江戸時代、武士たちが一昼夜(24時間)にわたり約120メートルの軒下を射通す本数を競い合った武芸の歴史を持ち、現在は全国から集まった新成人や高段者の弓道家たちが、色鮮やかな晴れ着姿で約60メートル先の的を射抜く勇壮な姿が新春の京都を彩ります。