「平干しネットを広げるベランダや浴室のスペースが足りない」「専用ネットをわざわざ買い揃えたくない」という悩みを一気に解消するのが、アパレルショップのバックヤードや現場スタイリストの間でも定番化している「おばけ干し」と呼ばれる吊るし方です。
名前の由来は、袖を両側にだらりと垂らした幽霊のように見えるユニークな形状から来ていますが、その構造はきわめて合理的です。身頃の中央をハンガーの底辺バーで受け止め、袖も同様にバーへ掛けるため、重力が一点に集中せず面全体に分散されます。
道具は自宅にある一般的なハンガー1本だけで完結します。具体的な手順は以下の通りです。
【ステップ1:平らな場所でニットを背中合わせに縦半分に折る】
脱水が終わったニットを取り出し、軽く手で叩いて全体のシワを整えた後、左右の袖を綺麗に重ね合わせるようにして身頃を縦半分(背中合わせ)に畳みます。テーブルや清潔な床の上で行うとズレが生じにくくなります。
【ステップ2:脇の下の交差点にハンガーのフックを配置する】
縦半分に折ったニットの脇下部分(身頃と袖が交わるポイント)に、ハンガーの三角形のフック部分が上を向くように重ねて置きます。
【ステップ3:身頃と両袖をハンガーの底辺バーにそれぞれ折り込む】
ハンガーの底辺バーを軸にして、裾側の身頃をバーの上から内側へと折り返します。続いて、左右の袖を反対側から同様にバーの上へ折り重ねます。これでハンガーを持ち上げると、身頃と両袖がハンガーの左右の傾斜を抱え込むような状態で固定されます。
この掛け方を実践する際に絶大な効果を発揮するのが、「すべらないハンガー(起毛加工やラバーコーティングが施されたタイプ)」の活用です。摩擦抵抗が高いハンガーを使用することで、乾燥途中に水分が下へ移動して重量バランスが偏っても、衣類が滑り落ちる事故を未然に防ぐことができます。