炎症の徴候を語る上で欠かせないのが、医学史における発展の経緯です。看護師国家試験や医学部試験でも頻出の論点となっています。
紀元前1世紀〜紀元1世紀頃の古代ローマの文筆家・医学研究者アウルス・コルネリウス・ケルスス(Celsus)は、医学書『医学論』の中で「発赤(Rubor)」「熱感(Calor)」「腫脹(Tumor)」「疼痛(Dolor)」の4つを記載しました。これが長年「ケルススの4徴候」として語り継がれてきた基礎です。(※一部の文献や歴史的伝承において、古代ギリシャの医師ガレノスが関与したと語られるケースもありますが、原典の記述としてはケルススが定式化したものとされています)。
それから約1800年後の19世紀、近代病理学の父と称されるドイツの病理学者ルドルフ・ウィルヒョウ(Rudolf Virchow)が、細胞病理学の観点から「局所の構造破壊に伴う機能低下を見落としてはならない」として機能障害(Functio laesa)を追加しました。これにより、現代に続く「炎症の5徴候」が完成しました。