物語の中盤から急速に存在感を増すのが、火星の地下に眠る超古代文明「ラハブ」と、地球上で猛威を振るった致死率100%の病原体「エイリアンエンジンウイルス(A・Eウイルス)」の存在です。
火星のピラミッド内部に遺されていた壁画やレリーフには、かつて太陽系に存在し、小惑星帯(アステロイドベルト)へと崩壊したとされる第5惑星ラハブの栄枯盛衰が記録されていました。ラハブ人は高度なバイオテクノロジーを有しており、生物の遺伝子を自在に組み替える技術を持っていました。そして、地球上で蔓延したA・Eウイルスとは、単なる自然発生の伝染病ではなく、「ラハブが開発した遺伝子改変用の生体ナノマシン・プログラム」そのものだったのです。
では、この壮大な惨劇を引き起こした「テラフォーマーズ 黒幕 誰」という問いの答えはどこにあるのでしょうか。単一の個人ではなく、宇宙的要因と人間側のエゴが複雑に結びついています。
火星側における直接的な黒幕は、ラハブの意志を継ぎ、あるいはその技術を操る知性体ですが、人間側における実質的な黒幕は「ニュートン一族(ジョセフ・G・ニュートンを頂点とする一族)」および地球上の覇権を巡る大国の上層部でした。彼らは火星に恐るべき生命体が存在すること、そしてA・Eウイルスが存在することを事前に把握しながら、自国の軍事力増強、遺伝子技術の独占、そして地球上の人口削減と「新人類の選別」を完遂するために、アネックス1号の乗組員たちを実験台として火星へと送り込みました。
つまり、テラフォーマーという脅威は、火星の過酷な環境が生み出した怪物であると同時に、地球の支配階級が自らの選民思想を満たすために意図的に利用・放置した「人災の極致」でもあったのです。