「飲んだコーヒーがそのまま母乳に流れ込むのではないか」という不安を抱く方は多いですが、生化学的な観点から見ると実態は異なります。母親が口にしたカフェインは胃や小腸から速やかに吸収されて血流に乗り、その一部が乳腺を通って母乳中に分泌されます。しかし、母乳へ移行する割合は母親が摂取した総量の約0.5%〜1.5%未満に過ぎません。医学的な薬物移行の指標である「相対的乳児投与量(RID)」で見ても、安全圏とされる10%を遥かに下回る極めて微量な水準にとどまります。
重要なのは「飲むタイミング」と「母乳中濃度のピーク」の関係性です。カフェインが血中および母乳中で最高濃度に達する母乳への移行時間とピークは、摂取後30分〜60分前後です。その後、成人の体内では4時間〜5時間程度の体内半減期を経て徐々に代謝・排出されていきます。したがって、授乳間隔と飲むタイミングを計算し、「授乳を終えた直後」にコーヒーを飲めば、次の授乳(約2.5〜3時間後)を迎える頃には母乳中のカフェイン濃度が大きく低下しているため、乳児への影響を最小限に抑えられます。