初対面の人間を圧倒する七海龍水の信条、それが「欲しい=正義だ」という極めて明快な哲学です。一見すると独善的な資本主義者の暴言に聞こえるこの言葉が、なぜ過酷な原始世界で誰一人見捨てないリーダーシップへと昇華されるのか。その背景には、七海財閥の経歴と彼が幼少期から培ってきた独自の価値観が横たわっています。
龍水は世界有数の巨大コングロマリット「七海財閥」の御曹司として生を受けました。巨万の富に囲まれ、あらゆる物質的欲求が容易に満たされる環境にありながら、彼が求めたのは既製品の安寧ではなく「自らの手で未踏の領域を制覇する興奮」でした。幼い頃から自前で大型帆船の模型やボトルシップを設計・建造し、億単位の小遣いをすべて帆船や海洋技術への投資に注ぎ込んだエピソードは、彼の情熱が単なる浪費ではなく「知的好奇心と技術探求」に根ざしていたことを物語っています。
作中で放たれる七海龍水 強欲の理由と名言を精査すると、彼の本質が明確に浮かび上がります。「何一つ諦めはしない。世界中の美味い飯も、女も、領地も、全て手に入れる」という言葉の裏にあるのは、「何かを得るために何かを切り捨てる」という妥協への徹底的な拒絶です。千空が科学の力で全人類78億人を救おうとするように、龍水は自身の強欲によって仲間全員を豊かさに導こうとします。誰かの取り分を奪う「ゼロサムゲーム」ではなく、自らの才覚でパイそのものを無限に拡大する――これこそが、龍水が掲げる強欲の真実です。