「体を気遣って選んでいたはずの食品が、実は数値を悪化させていた」——この現象は、行動経済学で「ヘルスハロー効果(健康の後光効果)」と呼ばれます。パッケージに躍る「食物繊維たっぷり」「1日分のビタミン」「低カロリー」といった宣伝文句が、糖質の存在を覆い隠してしまうのです。
代表格が市販の野菜ジュースやフルーツスムージーです。製造工程で搾汁・加熱濃縮される過程で、血糖上昇を緩やかにする不溶性食物繊維が破壊・除去されています。その結果、残った果糖とブドウ糖だけをダイレクトに飲む構造となり、固形の野菜を食べた時とは全く異なる血糖スパイクを引き起こします。
果物の選び方にも明確な境界線が存在します。患者の間で議論される糖尿病食べてはいけない果物というテーマですが、厳密には「食べてはいけない」のではなく「品種と量、状態を厳格に見極める必要がある」というのが医学界の共通見解です。
バナナ、スイカ、マンゴー、パイナップル、ぶどうは糖度が高くGI値も高いため、短時間で数値を押し上げます。一方で、ブルーベリーやラズベリーなどのベリー類、リンゴ(皮ごと1/2個程度)、キウイフルーツなどは食物繊維が豊富でGI値が低く、抗酸化物質も摂取できるため適量であれば推奨されます。
また、砂糖の代わりに重宝される糖尿病人工甘味料の影響についても、近年の研究で新たなリスクが報告されています。アスパルテームやスクラロースなどの非栄養性甘味料は直接血糖値を上げないものの、常用によって腸内細菌叢のバランスが崩れ、長期的にはインスリン抵抗性を悪化させる可能性が指摘されています。甘味に対する味覚の閾値が上がり、甘いものへの依存を断ち切れなくなる心理的デメリットも軽視できません。