1969年10月5日の『サザエさん』第1回放送から半世紀以上、フグ田タラオ役を演じたキャストは歴史上わずか2名しか存在しません。その歩みを振り返ると、いかにこの役が特別な存在であるかが浮き彫りになります。
初代の貴家堂子さんは、1969年の初回から2023年2月まで、実に53年と152日にわたってタラちゃんを演じ続けました。この記録は「最も長く同じアニメキャラクターの声を担当した声優」として、サザエ役の加藤みどりさんと並んでギネス世界記録に認定されています。無邪気で礼儀正しく、時に頑固な3歳の男の子という難しいキャラクター像を、大人の女性が生涯にわたって違和感なく演じ切った功績は、声優史における金字塔といえます。
そして、その偉大すぎる背中を追う2代目後任として白羽の矢が立ったのが、数々のアニメで変幻自在の演技を披露してきた愛河里花子(あいかわ・りかこ)さんでした。子役出身の実力派であり、『ポケットモンスター』シリーズのゼニガメやコダックをはじめ、数多くの少年少女・マスコット役で定評のあった愛河さんの起用は、アニメ業界関係者からも「これ以上ない適任者」と大きな期待を寄せられました。