不意に鳴り響くディスプレイを見て、「+1833の電話番号はどこからかかっているのか」と疑問を抱くのは当然です。国際電話の規格において、先頭の「+1」は北米番号計画(NANP: North American Numbering Plan)に属する国と地域、すなわちアメリカ合衆国、カナダ、および一部のカリブ海諸国を指す国番号です。
その後に続く「833」という3桁は、特定の地理的都市(ニューヨークやロサンゼルスなど)を示す市外局番ではありません。これは、米連邦通信委員会(FCC)の管理下で割り当てられている北米トールフリーダイヤル(着信者課金電話番号)の専用プレフィックスです。日本国内における「0120」や「0800」のフリーダイヤルと全く同じ位置づけの番号体系にあたります。
北米では「800」「888」「877」「866」「855」「844」、そして新たに追加された「833」がトールフリー枠として機能しています。本来は現地の一般企業がカスタマーサポートや注文受付用として契約する番号ですが、これこそが「+1 国番号に迷惑電話が集中する理由」の核心となっています。
近年、グローバルなクラウドPBXやVoIP(インターネット電話)サービスの普及により、世界中の誰もがオンライン上で身元確認をすり抜け、月額わずか数百円程度で「+1 833」の番号を取得できるようになりました。犯罪組織は物理的に北米にいなくとも、東南アジアや東欧などの拠点から北米のトールフリー番号を隠れ蓑にして、日本の一般ユーザーへ向けて大量の自動発信を仕掛けているのが実態です。