渋谷すばるがグループ脱退を決断した核心には、30代半ばを迎えた表現者としての強烈な危機感と、音楽に対する妥協なき純粋性がありました。2018年4月15日、都内ホテルで行われた記者会見で、渋谷は自身の言葉でその胸の内を語り始めました。
「35歳を過ぎ、自分の人生の残り半分を考えたときに、このまま甘えていていいのかという葛藤が生まれました。自分自身の責任で、音楽を深く学び、海外を拠点にしながら自分の音楽を追求していきたい」
当時、関ジャニ∞は5大ドームツアーを成功させるなど、名実ともにトップアイドルグループとしての地位を確立していました。バラエティ番組での活躍や親しみやすいキャラクターでお茶の間に浸透する一方、グループのアイデンティティであったバンド演奏において、渋谷のブルースハープと魂を削るようなハイトーンボイスは絶対的な看板でした。
しかし、巨大なアイドル帝国の中で「関ジャニ∞の渋谷すばる」として守られ、用意されたステージに立ち続けることに、彼の中で激しい違和感が生じていたと関係者は証言します。看板やグループの看板に依存せず、「一人の音楽家・渋谷すばる」としてゼロから世界に通用する表現を作りたいという欲求が、組織の枠組みを超えてしまったのが脱退の最大の引き金でした。