「『解体新書』で名高い杉田玄白の墓は一体どこにあるのか」という疑問を抱く歴史ファンは少なくありません。結論から言えば、玄白の墓所は東京都港区虎ノ門3丁目10-10に佇む浄土宗の寺院、栄閑院(えいかんいん)の境内に現存しています。隣接する大寺院・天徳寺の塔頭(たっちゅう)として建立された寺院であり、古くから庶民の間では「猿寺」の愛称で広く親しまれてきました。
港区教育委員会や東京都教育庁の史料によると、杉田玄白の墓は昭和41年(1966年)3月17日に東京都指定史跡に指定されています。大正期や昭和初期の東京案内記にもその名が刻まれており、関東大震災や東京大空襲といった幾多の戦火をくぐり抜け、奇跡的に当時の佇まいを現代に留めています。
では、なぜ玄白の墓が虎ノ門の栄閑院に建てられたのでしょうか。その最大の理由は、玄白が仕えていた若狭小浜藩(現在の福井県小浜市周辺)酒井家の江戸中屋敷が、現在の港区虎ノ門から神谷町周辺(旧・西久保巴町界隈)に位置していたことにあります。藩医として代々仕えた杉田家の菩提寺として栄閑院が選ばれたのは、藩屋敷に極めて近いという地縁・主従関係に基づいた自然な選択でした。
現地を訪れる際の交通アクセスは極めて良好です。最寄り駅からの所要時間は以下の通りです。
- 東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」:A1・A2出口より徒歩約5分
- 東京メトロ日比谷線「神谷町駅」:3番出口より徒歩約5分
- 東京メトロ銀座線「虎ノ門駅」:2番出口より徒歩約10分
- 都営三田線「御成門駅」:A5出口より徒歩約10分
愛宕山や虎ノ門ヒルズの巨大なガラスカーテンウォールを見上げる路地を進むと、突如として緑に包まれた山門が現れます。近隣で働くビジネスパーソンが昼休みに静かに手を合わせる光景も見られ、都市の歴史的オアシスとしての役割も果たしています。