ネット上の情報では「縮毛矯正=絶対的な美髪化」「髪質改善=ノーリスク」といった極端な表現が飛び交いますが、現場のプロが警鐘を鳴らす深刻な盲点が存在します。
第1の盲点は、縮毛矯正の不可逆的な失敗リスクです。代表的な事故が、過度な軟化や高温アイロンの摩擦によって毛髪がチリチリに縮れてしまう「ビビリ毛」や、アイロンの角度ミスによって根元からカクンと折れてしまう「根元折れ」です。一度ビビリ毛になってしまった髪は、内部のタンパク質が完全に破壊されているため、トリートメントで修復することは不可能です。切除する以外に根本的な治療法はありません。
第2の盲点は、「ブリーチ毛への施術可否」をめぐる誤解です。一般論として、ブリーチを1回でも施した毛髪に通常のアルカリ縮毛矯正をかけることは美容業界のタブーとされてきました。毛髪の体力が限界を迎えている状態に強いアルカリ剤と熱を加えると、髪が千切れて溶け落ちる恐れがあるためです。
現在では、毛髪と同じ弱酸性領域で作用させる「酸性ストレート」の技術が確立されたことで、ブリーチ毛であっても施術が可能なケースが増加しました。ただし、これも「毛髪のダメージホールを埋めながら極めて繊細な薬剤調合を行う」という高度な職人技が前提となります。技術力のないサロンで「ブリーチ毛対応」の看板だけを信じて施術を受け、取り返しのつかない断髪被害に遭う事例は依然として後を絶ちません。
第3の盲点が、「髪質改善(酸熱トリートメント)」との混同です。「くせ毛が治るトリートメント」という宣伝文句で酸熱トリートメントを受ける人が増えていますが、これはグリオキシル酸などの成分を用いて毛髪内部に新たな架橋を作る施術であり、パーマ剤のような還元作用はありません。パサつきや加齢による軽微なうねりを収める効果はあるものの、先天的な強いくせ毛をまっすぐにする力は皆無です。還元剤を用いないため失敗時のビビリ毛リスクは低いものの、くせを伸ばす目的で選ぶと完全なミスマッチとなります。