心理学において、存在の意義を見失う状態は「実存的真空(エグジステンシャル・バキューム)」と呼ばれます。これはオーストリアの精神科医ヴィクトール・フランクルが提唱した概念で、自分自身の目的や価値基準が見えなくなったときにぽっかりと心に穴が空く状態を指します。
人間が生きる意味を見失う背景には、主に3つの心理的要因が絡み合っています。
第1に、他者基準の生き方による自己の喪失です。親の期待や社会の「こうあるべき」というレールに沿って走り続けてきた人ほど、ふと立ち止まった際に「自分は本当は何がしたかったのか」が分からなくなります。第2に、慢性的な孤独感と承認欲求の不一致です。人とのつながりが希薄になり、自分の存在を受け止めてくれる居場所がないと感じると、生きる価値そのものを疑うようになります。そして第3に、脳の過労による感情の麻痺です。過剰なストレスに長期間さらされると、脳は心を守るために喜怒哀楽のスイッチを鈍らせます。その結果、「楽しい」「嬉しい」という感情が湧かなくなり、何をやっても無意味に感じられてしまうのです。