SNSや知恵袋などのコミュニティでは、「私の接し方を変えればモラハラ彼氏は治るのか」「結婚して落ち着けば穏やかになるのではないか」という切実な相談が後を絶ちません。しかし、この点に関する精神医療および心理支援の現場における見解は、極めて冷徹かつ一貫しています。
「パートナーの努力や愛情によってモラハラ彼氏が自然治癒することは、現実的にあり得ない」というのが客観的な結論です。加害者更生プログラムを運営する専門機関の臨床データを見ても、加害者が自らの非を完全に認め、専門カウンセリングに年単位で通い続けて改善する割合は、全体の数パーセント程度に過ぎません。
ネット上に散見される「褒めて自信をつけさせれば丸くなる」「怒らせないように先回りして尽くす」というアドバイスは、事態を悪化させる致命的な誤解です。彼らにとって相手の譲歩は「自分の支配が正当である証拠」と解釈され、要求のハードルがさらにエスカレートするだけです。「同棲を始めれば」「結婚すれば」「子どもが生まれれば」という期待はすべて裏切られ、より逃げ場の失われた環境で被害が激化するのが定石です。