治療方針は「水を体外へどう逃がすか」「原因疾患をどう抑えるか」という観点から完全に分かれます。
心原性肺水腫の治療は、まさに時間との戦いです。まずは高濃度の酸素投与や非侵襲的陽圧換気(CPAP/BiPAP)で肺胞を押し広げ、酸素化を確保します。並行して、強力な利尿薬(フロセミドなど)を静脈注射して余分な水分を尿として急速に排泄させ、血管拡張薬(ニトログリセリンなど)で心臓への負荷を軽減します。適切な初期治療が行われれば、数時間から数日で劇的に呼吸状態が改善する治療経過をたどるケースも少なくありません。
胸水の治療では、物理的な排液処置が選択肢となります。背中や側胸部から細い針を刺して胸水を吸引する「胸腔穿刺(きょうくうせんし)」を行い、呼吸困難の緩和とともに、抜いた胸水の成分(細胞診、細菌培養、タンパク質濃度など)を詳しく調べて原因を特定します。水が大量に溜まり続ける場合は、胸腔内に細いチューブを留置する「胸腔ドレナージ」で持続的に排液を行います。がんによる悪性胸水で再発を繰り返す局面では、肺と胸壁を癒着させて水が溜まるスペースをなくす「胸膜癒着術」が施されることもあります。