ネット上の掲示板やSNSでは「障害年金だけで踏ん張るのと、生活保護を受けるのはどちらが得なのか」という議論が頻繁に交わされています。しかし、生活保護を単なる「現金給付」だけで評価するのは本質を見誤っています。決定打となるのは「医療扶助」を中心とする各種現物給付です。
障害当事者、特に重い精神疾患や難病を抱える方にとって、毎月の通院費、検査費、高額な処方薬の薬価は家計を激しく圧迫します。生活保護を受給した場合、生活保護法第15条に基づく「医療扶助」が適用され、指定医療機関での受診・投薬費用は全額公費負担(自己負担0円)となります。
自立支援医療制度(精神通院など)を利用している場合でも原則1割の自己負担が発生しますが、生活保護世帯であればその1割負担すら免除されます。また、医師の判断に基づき、通院のための交通費(電車代・バス代等)が移送費として実費支給されるケースもあります。
さらに、障害者手帳を保持していることによるシナジーは多岐にわたります。
- 生活保護における障害者加算の直接的根拠:身体障害者手帳1〜3級や、精神障害者保健福祉手帳1〜2級を有していることで、年金の裁定を待たずに加算認定が下りやすくなります。
- 公営住宅への優先入居と家賃減免:生活保護の住宅扶助上限額(家賃上限)に収まる物件を見つけるのは容易ではありませんが、障害者手帳があれば自治体の福祉枠や優先抽選を利用できます。
- NHK受信料の全額免除や公共交通機関の割引:生活保護単体、あるいは手帳単体でも受けられる免除措置が重複して適用され、生活コストを極小化できます。
障害年金のみで生活を維持しようとして医療費を削り、体調を悪化させて孤立するケースは後を絶ちません。「障害年金の額面が家賃と最低生活費を下回っている」「医療費がかさんで毎月赤字になっている」という状況であれば、迷わず生活保護を併用することが最も合理的な生存戦略です。