「父と子と聖霊の御名において」の真意|十字の切り方と教派差を徹底解説

「父と子と聖霊の御名において」の真意|十字の切り方と教派差を徹底解説

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この祈りの言葉の決定的な出典は、新約聖書の『マタイによる福音書』第28章19節に記されたイエス・キリストの「大宣教命令(地上の弟子たちへ向けた最後の指示)」にあります。復活したキリストが弟子たちに「すべての民を弟子とし、父と子と聖霊の名によって洗礼を授けよ」と命じた場面が、歴史的な祈祷定式の出発点となりました。

キリスト教神学において、この表現は三位一体(トリニティ)の教理をダイレクトに表現しています。三位一体とは、「創造主である父」「救い主である子(イエス・キリスト)」「信徒に寄り添い導く聖霊」という3つのペルソナ(位格)が存在しながらも、神としての本質は完全にひとつであるという難解かつ根幹的な教理です。

ここで着目すべきは、「父と子と聖霊の『御名(Name)』」という言葉が、原語である古代ギリシャ語(ὄνομα / onoma)でもラテン語(nomen)でも単数形で表記されている点です。3つの存在を並列に並べながらも「御名たち(Names)」という複数形を用いない構造そのものが、「三者でありながら唯一の神」という三位一体の神秘を文法レベルで体現しています。単なる呼びかけの挨拶ではなく、神の主権と庇護の中に自らの存在を丸ごと委ねる厳粛な宣言なのです。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。