中村倫也がこれまで見せてきたラブシーンの中で、ファンの間で「歴代最高」を巡って熱い議論が交わされ続けているのが、TBS系ドラマ『この恋あたためますか』(恋あた)と『凪のお暇』の2作品です。両作で見せたキスの質感は対極に位置しながら、どちらも視聴者の心拍数を跳ね上げる決定打となりました。
2020年に放送された『この恋あたためますか』で演じた浅羽拓実は、クールな元エリート社長。ヒロインの井上樹木(森七菜)と惹かれ合いながらも立場や過去の葛藤から素直になれなかった男が、ついに想いを溢れさせた第9話のラスト、そして最終話のキスシーンはまさに伝説級です。感情を抑えきれずに引き寄せ、包み込むように唇を重ねる姿には、ツンデレな大人の男が見せる脆さと情熱が凝縮されていました。視聴者からは「大人の包容力に息が止まった」「心臓がもたない」と絶賛の声が殺到し、放送直後のX(旧Twitter)では関連ワードが世界トレンド1位を獲得する社会現象となりました。
対して2019年の『凪のお暇』で演じた安良城ゴンは、出会う女性すべてを無自覚に骨抜きにしてしまう「メンヘラ製造機」と呼ばれるイベントオーガナイザー。第6話などで描かれた大島凪(黒木華)とのキスは、相手の理性をじわじわと奪い去るような、柔らかく甘美なアプローチでした。相手の顔にふわりと手を添え、抵抗する隙すら与えずに空気を奪うその所作は、まさに天性の人たらしそのもの。視聴者の間でも「危険だと分かっているのに抗えない」「あの脱力した色気は中村倫也にしか出せない」と、まったく質の異なる衝撃を与えました。
ストイックな純愛の爆発を見せた『恋あた』か、抗えない魔性の引力を放った『凪のお暇』か。タイプこそ異なるものの、どちらも「相手の感情を限界まで引き出した末の一撃」という点で、中村倫也の演技プランが完璧に結実した名作と言えます。