ネット上のレシピサイトで頻繁に見かけるのが「みりんがないときは料理酒+砂糖で代用可能」という記述です。一見するとアルコールと糖分を補填しているため完璧なみりん代用方法のように思えますが、調理科学の観点からは大きな盲点が存在します。
砂糖の主成分であるショ糖は、分子量が小さく単一の強い甘みを持っています。一方、本みりんに含まれるブドウ糖やオリゴ糖は分子構造が複雑で、食材の組織にゆっくりと浸透していく性質を持ちます。砂糖で代用した煮物は、表面だけが急激に甘くなり、冷めたときに甘みがくどく残りやすい欠点があります。もし代用を行うのであれば、「日本酒大さじ1に対し、砂糖小さじ1/3、さらにハチミツを微量加える」ことで、ショ糖特有の角を落とし、本みりんが持つ複雑な糖組成に近づける技術が求められます。
さらに警戒すべきは、一般に販売されている「加塩料理酒」と「発酵調味料」の組み合わせです。どちらにも約2〜3%の塩分が含まれているため、これらを組み合わせて代用すると、知らぬ間に小さじ半分以上の塩を鍋に追加している計算になります。レシピ通りに調味料を計量しているにもかかわらず料理が塩辛くなる現象の真相は、まさにこの隠れた塩分濃度にあります。