「痛くないからそのままで構わない」と寝指を甘く見ていると、身体の土台である足元から全身のアライメントが雪崩式に崩れていきます。放置することによる具体的なデメリットは以下の通りです。
まず直接的な足のトラブルとして、小指の外側や足裏に頑固なタコや魚の目が形成されます。接地面積が異常に偏るため、局所に過度な摩擦と圧力が集中するためです。削っても削っても数週間で再発する場合、根本原因である寝指が解決していません。
さらに深刻なのが、歩行運動連鎖の破綻です。歩く際、人間は「かかと」で着地し、「小指の付け根」を経由して「親指の付け根」へと荷重を移動させ、最後に親指で力強く地面を蹴り出します。しかし小指が寝ていると外側で体重をしっかり支えられず、足が過剰に外へ流れる「外側重心(小指荷重)」の異常歩行に陥ります。
外側へ逃げた荷重を補正しようと身体が代償動作を起こした結果、すねの外側の筋肉が異常に緊張し、膝関節が外側に引っ張られてO脚が進行します。そこから骨盤の後傾やねじれ、慢性的な腰痛、首・肩こりへと波及していくのです。原因不明の腰痛に悩まされていた患者が、寝指を矯正して小指を使えるようになった途端に痛みが解消したという報告は、理学療法の現場では決して珍しくありません。