近年の新築やリノベーションでは、開放感を重視して「天井一直線のオープンLDK」を希望する施主が目立ちます。しかし、入居後の定期点検や住まい手アンケートを調査すると、キッチン 垂れ壁 なし 後悔という切実な声が数多く寄せられています。
住宅ポータルサイトの体験談や大手ハウスメーカーのアフターサービス窓口に届く相談事例では、特に以下の3点に対する不満が集中しています。
「開放的なフルオープンキッチンに憧れて垂れ壁と吊戸棚をすべて撤去したものの、炒め物や焼き魚をした際、油を含んだ微細な煙がリビングじゅうに拡散するようになった。新調した布製ソファや遮光カーテンに調理臭が染み付き、高性能空気清浄機をフル稼働させても数日は匂いが抜けない」(都内マンション在住・30代夫婦の証言)
「垂れ壁がなくなったことで、リビング側からキッチンの手元やシンクの中が丸見えになってしまった。以前は多少洗い物が溜まっていても壁の影に隠れていたが、今は来客時にキッチン全体の生活感が露呈してしまうため、常に掃除に追われる精神的プレッシャーを感じている」(築15年戸建てリノベ施主・40代女性の手記)
「ガスコンロを維持したまま垂れ壁を外したため、内装制限の関係で天井に木目の羽目板を貼ることができず、準不燃材の無機質な白いクロスしか選べなくなった。デザインの統一感を損ねてしまい、事前の確認不足を痛感している」(注文住宅購入者・30代男性の投稿)
家族社会学の観点からも、LDKの一体化が進みすぎた住空間では、「調理をする労働の場」と「くつろぎの場」の境界線(心理的バウンダリー)が曖昧になり、視覚的ノイズが家族の疲労感につながる現象が指摘されています。天井から数十センチ下がっただけの壁が、物理的な煙の遮断だけでなく、心理的な結界としても機能していた事実は見逃せません。