東京地裁で社会的な注目度が高い大事件が審理される日、最初にして最大の関門となるのが「傍聴券の交付抽選」だ。裁判所前の敷地、あるいは隣接する日比谷公園の指定エリアには、開廷の数時間前から長い蛇の列が形成される。
「本日の○号法廷、傍聴希望者の抽選を行います」――裁判所職員の張り詰めた声が響き渡ると、並んだ人々が一斉に番号札を受け取る。数百人、時には千人を超える希望者が集まる中、当選番号が掲示板に張り出された瞬間の歓声とため息は、霞が関の朝の風物詩とも言える。当選券を手にした者だけが、セキュリティチェックを通過して館内の金属探知ゲートへと進む権利を得るのだ。