メガイベントの総括において陥りがちな最大の罠が、「入場者数の多さ=プロジェクトの絶対的成功」と単純化してしまうことです。歴史を検証すると、動員数と経済的・社会的評価が必ずしも一致しない事例が存在します。
典型的な事例が2000年のハノーバー万博(ドイツ)です。当初、主催者は4,000万人という強気な目標を設定し、巨額のインフラ投資を行いました。しかし、高いチケット価格設定や広報戦略のミスマッチが響き、最終的な入場者数は約1,800万人と目標の半数以下に低迷。巨額の財政赤字を残す結果となり、欧州における万博不要論の火種となりました。
また、BIEの博覧会区分に関する誤解も散見されます。数千万人を集める大規模な「登録博覧会(Registered Expo)」と、特定の専門テーマに絞り3カ月程度で開催される小規模な「認定博覧会(Recognized Expo / 旧特別博)」では、そもそも動員規模の前提が異なります。例えば、1975年の沖縄海洋博(約349万人)や1985年のつくば科学万博(約2,033万人)は認定博・特別博としての位置づけであり、単純に登録博のメガ記録と比較して成否を論じることはできません。
現代の国際基準において、万博の真の評価軸は「入場者総数」から「投じた公金に対する費用対効果(ROI)」「カーボンニュートラルなどの環境配慮」「閉幕後の跡地活用(レガシー)」へと明確に移行しています。