日本国憲法において、天皇は「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と定められている。ここに「元首」という文字はない。この法的な空白が、長年にわたり憲法学者や政治家の間で議論の種となってきた。
実質的な政治権力を持たない天皇は、元首ではないという意見がある。一方で、外交儀礼上は国の代表として遇されており、諸外国からは事実上の元首として扱われているのが現実だ。この「象徴」という日本独自のシステムは、権力と権威を巧みに分離した知恵なのか、それとも前時代的な曖昧さの残滓なのか。混迷を極める現代社会において、その存在意義が改めて問い直されている。