インターネット上の戦術解説動画やSNSにおいて、「このセットを覚えれば絶対に勝てる」といった極端な言説が散見されます。しかし、現場のトップコーチたちが口を揃えるのは、「セットプレーを暗記作業にした瞬間に、そのオフェンスは死ぬ」という事実です。
ディフェンス側も当然スカウティングを行っており、プレーの初動を見た段階でコースを塞いだり、強引にスイッチしてきたりします。その際、型通りにしか動けないチームは、スクリーンの位置がずれただけで完全に立ち往生してしまいます。
真に機能するセットオフェンスとは、決められたレールの上を走ることではなく、「相手がリアクションした瞬間に即座にキャンセルし、カウンターを仕掛けるための共通認識」です。スクリーンを拒否して裏へ走る「バックドアカット」や、スイッチされた瞬間にインサイドへ押し込む「シール」など、相手の逆手を取る即興性(インプロビゼーション)が組み込まれて初めて、セットプレーは本物の威力を発揮します。