インターネット上の掲示板やSNSでは、「袋のまま流水に当てるだけで簡単」「常温で数時間放置すればドリップが出ない」といった誤った解凍術が散見されます。しかし、水産加工の専門的見地から言えば、これらは身の変色(褐変)と旨味の不可逆的な崩壊を招く危険な手法です。
マグロの赤色は筋肉中のミオグロビンという色素タンパク質によるものです。常温や密閉袋内での流水解凍を行うと、急速な温度変化によってミオグロビンが酸化し、身がくすんだ茶褐色(メト化)に変色してしまいます。また、内部と外側の温度差によって身割れ(マグロの肉がバラバラに裂ける現象)が起きるリスクも跳ね上がります。
あわせて押さえておきたいのが、適切なマグロブロック保存方法です。解凍後のマグロは空気に触れると急速に酸化が進みます。当日中に食べきれない分は、脱水吸水シート(ピチットシート等)または湿らせて固く絞ったキッチンペーパーで包み、その上から空気が入らないようラップで何重にも密閉してチルド室(0〜2℃)で保管してください。この下処理を施すことで、翌日でもドリップの再流出を防ぎ、旨味が凝縮された状態を保てます。