本作の最大の推進力となったのは、主人公・渋沢栄一を演じた吉沢亮の圧倒的な演技力です。武蔵国血洗島で泥にまみれながら育った青年の情熱から、パリ万国博覧会で西洋文明の洗礼を受けて開眼し、やがて日本のビジネス界を牽引する大実業家へと成熟していく姿を、息をのむようなリアリティで演じ分けました。
特に話題を呼んだのは、感情が溢れ出る「叫び」と「眼光」の表情管理です。挫折や葛藤の渦中にあっても、未来を見つめる瞳には強い光が宿り、観る者の心を揺さぶります。大森美香による緻密な脚本は、歴史上の偉人を単なる英雄としてではなく、時に悩み、時に失敗する等身大の人間として描き出し、大河ドラマに新しい風を吹き込みました。