NHKの大相撲中継では、本場所の取組前後のわずかな時間しか力士の表情は映し出されない。解説者が「非常に稽古熱心な力士」と評する言葉の裏には、テレビの画面には収まりきらない日常の積み重ねがある。
早朝から始まる厳しい稽古が終わると、大汗をぬぐいながら稽古場の掃除を行い、ちゃんこ場へと向かう。自ら包丁を握り、若い衆に指導を行いながら、部屋の栄養管理にも気を配る。周囲に対する気遣いと優しさは一握りの本物だ。土俵上での鬼気迫る表情とは対照的な、柔らかい笑顔と誠実な人柄。この落差こそが、長年彼を応援し続ける熱狂的なファンを引きつけて離さない理由である。