スピッツの歌詞がヤバいと言われる最大の要因は、「究極のポップネス」と「タブー視される狂気」の共存にあります。ラジオや街中で流れるスピッツのサウンドは極めて心地よく、私たちの警戒心を完全に解いてしまいます。しかし、耳に入ってくるフレーズを文字として追った瞬間、冷水を浴びせられたような異物感に襲われるのです。
草野マサムネ自身、過去のインタビューにおいてバンドの初期衝動や創作の根源に「死とセックス」があると公言しています。ドロドロとした情念や破滅的な衝動を、あえて生々しい言葉を使わずに純文学的なメタファーへと変換する技術こそが草野マサムネの真骨頂です。日常のありふれた風景にふと混ざり込む死の気配が、聴き手に言い知れぬ不気味さを抱かせます。