前妻との別れという辛酸を舐めた後、井上陽水の人生に新たな光が射す。1978年、かねてより親交のあった歌手の石川セリと再婚を果たしたのである。石川セリとのパートナーシップは、彼の音楽性と精神面に大きな安息をもたらすこととなった。
再婚後の彼は、かつてのフォークソングの枠組みを鮮やかに飛び越え、よりポップでアヴァンギャルドな独自の音楽スタイルを確立していく。波乱に満ちた前妻との破局という過去を通過点とし、新たな伴侶を得たことで、彼は真の意味での「天才シンガーソングライター」としての成熟期へと突入していったのである。