結束バンドを切らずに外すためには、まずその内部メカニズムを正しく把握することが最短の近道です。結束バンドは一般的に「ラチェット機構」と呼ばれる一方通行のロック構造を採用しています。バンドの帯部分(ストラップ)には無数のギザギザ(セレーション)が刻まれており、バンドを通す四角い頭部(ヘッド)の内部には、ノコギリ状の小さな突起である「ツメ(ラッチ)」が配置されています。
バンドを差し込むと、ツメがしなりながらギザギザの斜面を滑り、逆方向に引っ張られると直角の段差にツメが深く食い込んでロックがかかります。業界最大手であるヘラマンタイトンの「インシュロック」をはじめ、パンドウイットなどの主要メーカー製品も基本設計は共通です。つまり、結束バンドのロック解除のコツは「食い込んでいるツメをギザギザから浮かせた状態を保ち、バンドを逆方向に引き抜く」という一点に尽きます。
現場の電気工事士が指摘するように、多くの人が失敗する原因は「力任せにバンドを引っ張りながらツメを操作しようとすること」にあります。バンドが強く引っ張られている状態では、摩擦力と噛み合わせの圧力が最大化し、ツメがびくともしません。解除する際は、まずバンドをわずかに「奥(締める方向)へ押し込む」ようにしてツメにかかる圧力を逃がし、その隙間に解除ツールを差し込むのがプロの鉄則です。